最近では風俗嬢もホスト同様、SNSの利用が必須とされている店舗も増えてきた。ホストと違い勤務時間に応じて決まった金額での仕事である風俗嬢が時間外にする仕事として写メ日記の更新、常連客への連絡に加えてSNSの更新が追加されたのだ。「昔はこんなことしなくても稼げたのに」と、ベテラン風俗嬢からは嘆きの声が上がっている。
こうした歌舞伎町の現状を分析すると、今の世の中は男女問わず「傷つかずに手間を省いて、自分の理想に近いストーリーを消費したい」という願望に溢れていると感じる。対等なコミュニケーションをとるのが苦手な人はしばしば、相手を偶像化してしまいがちだ。
そうしたコミュニケーション能力の「格差」が、今のホストバブルを支える「推し文化」の中心にあるのかもしれない。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
佐々木チワワ(ささき・ちわわ)/ライター。2000年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学在学中。15歳から歌舞伎町に通い、それをもとに「歌舞伎町の社会学」を研究する。著書に『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認』(扶桑社)。
※週刊ポスト2022年3月11日号