コロナ経済対策で蚊帳の外に置かれている「見捨てられた業界」は少なくないが、そのひとつが性風俗産業だ。正規の支援策の対象とされないケースが多いが、もともと経済的に困窮している従事者も多いだけに影響は深刻だ。ある推計では30万人の女性が働いているとされる性風俗産業の実態について、『週刊ポスト』(4月5日発売号)では100人の女性従事者へのアンケートで詳しく分析・リポートしている。
濃厚接触を余儀なくされる業務内容だけに感染リスクは高いが、それでも調査した女性の21%が「コロナ後に働き始めた」と答えており、その仕事を「副業」だと答えた女性の約半数は、「本業」が学生だった。「春の学費納入までにどうしても稼がなければならない」と告白した女子学生は、コロナ禍で勤務する店舗を増やしており、大学のリモート授業も勤務先の待機室で受けていると明かした。
コロナ第4波が懸念されるなかで、常識的には営業を控えるべきは当然だが、経済的な事情がそれを許さない。彼女たちへの支援が急務であることは論をまたないと同時に、感染防止策も求められる。従業員女性たちはコロナ感染のリスクをどう考えているのか。
「コロナが不安」は約半数にとどまる
調査では、コロナ禍の出勤が「不安」だと答えたのは55%、「不安ではない」が42%と意見が分かれた(無回答が3%)。実は、この1年で性風俗店でのクラスター発生が大きく報じられたケースはほぼない。キャバクラやホストクラブなど、多人数と長時間接触する、あるいは密着して会話を交わす、飲食するといった業態のほうがリスクが高い可能性もあるが、それは性風俗のリスクが低いことの証明にはならない。従事者たちのなかには、祈るような気持ちでサービスを続けている人も多い。
「お客さんから白い目で見られないか、不謹慎だと言われないか不安。正直、自分がその店の最初の感染者にはなりたくない。お客さんが感染者だったらと考えると不安です」(関東在住・23歳)
一方で「不安ではない」と答えた女性も、「不安がない」わけではないようだ。
「コロナ感染よりも、お金がないことのほうが不安です。生きるためだから不安になっている場合ではない。コロナよりも性病感染のほうがよっぽど怖い」(関東在住・24歳)
この女性は毎月、抗体検査を受けているという。アンケートでは「不安ではない」としているものの、コロナ感染リスクを感じていないわけではないのだ。