それが、コロナ騒動が始まった2年前からパタッと止まった。そして私の接待相手は子供から大人に代わったの。衆議院議員会館の議員事務所にはさまざまな人がやって来る。地元・茨城の首長から市議会議員、各種団体の役員などなど。そのかたがたを会議室にお通しして、コーヒーをお出しする。なかにはカチンコチンに固まっている人もいるから、「どぢらがら来たんですか?」と茨城弁で話しかけると、一瞬で肩の力が抜けて顔には生気がみなぎるから、「あだし(私)、さぐらがわ市(桜川市)なんですよ」と畳みかける。すると、おじさんたちの緊張が一気にほどけて、笑顔で茨城弁が交わされるというわけ。
見渡す限り田んぼや畑の茨城から、ビルだらけの東京に初めて来て、しかも政治の中心地・国会議事堂で、金バッジ議員とこれから会談すると思うと……。その心情が茨城県民の私にはよくわかるのよ。そんな彼らを“ネイティブ茨城弁”で和らげるのは私の最も得意とするところよ。
予算委員会でお金の話が出ないのはなぜ?
私がちょっと苦手な人たちも来る。国会の会期中、議員事務所にいちばん大勢来るのは、霞が関のお役人たちだ。巷では「高級官僚」とか「上級国民」とか言われる人たちで、わが田所代議士が質問や答弁をする前に、入れ代わり立ち代わり彼らからレクチャーを受けることになるの。
まぁ、お行儀がいいというのかね、「淹れ立てです」と香り高いコーヒーを目の前に置くと、「はっ、ありがとうございますッ」とキチンと頭を下げてくれるけれど、取りつく島もない。
各省庁には、国会でこんな質問をしてほしいという方向があって、それを筋道立てて議員に因果を含めるのが仕事らしいの。内容がややこしくなると、会議室に数時間こもることだってある。ま、そんな彼らも議員から思わぬ反論を食らうと、役所に戻って、「やってられっかよ!」と書類を机に叩きつけている、という話をつい最近、風の噂で聞いたけど、そんな様子はおくびにも出さないわ。
国会議員、地方の政治家、秘書、お役人、各種団体職員、民間人、そしてマスコミ。議員会館にはいろんな人が行き来している。それがいつの間にか、私は7~8割の確率で見分けがつくようになった。全身から漂う雰囲気、特に立ち姿が“人種”によってまるで違うんだもの。私だけじゃない、受付の人や国会の警察官、衛視さんたちも数年ウオッチしたらわかるはずよ。