仕事や家事、育児に追われるなか、いちいちレシートを見返して家計簿を付けるなんて面倒──多くの人がそう感じているだろう。だが、そんな考え方を続けていては、いつまで経っても節約できないし、貯蓄も増えてこない。
アラフィフ専門ファイナンシャルプランナーの深川恵理子さんは、「家計簿をつけずに節約するのは、体重計に乗らずにダイエットするようなもの」と語る。
「家計簿は単なる記録ではなく、支出の傾向を振り返り、ムダの削減に役立てるものです。財布にレシートをため込んで、気が向いたときだけつけているなんてもってのほか。買ったものがムダかどうかも思い出せないようなら、家計簿をつける意味がありません。ただ毎日金額だけ書いていても、合計金額を出さなければ意味がない」(深川さん)
エクセルやアプリを使うのが理想的だが、手書きの家計簿でも毎日つけて、月末には必ず合計金額を出すこと。そして、1~2週間単位で見直すことも大切だ。家計再生コンサルタントの横山光昭さんが話す。
「家計簿をつけても支出を管理できないのは、見直しをしていないから。こまめに家計簿を見直せば、1か月の予算を立てられるはずです。わが家では、1か月の予算をさらに1週間ごとに分けて、月曜日にその週の予算を財布に入れ、週末に、何にいくら使ったか振り返りをしています」
予算がわかれば、毎月いくら貯蓄に回せるのかもおのずとわかるようになる。月々の収入をなんとか余らせようと節約するよりも、あらかじめ貯める分を先取りして、残ったお金で生活する方がいい。「残し貯め」ではなく、「先取り貯蓄」の考え方だ。
「先取りしておくお金は、収入の2割が理想です。5年以内に使うお金は銀行の普通預金に、5~10年以内に使うお金は投資信託、老後まで手をつけずにとっておくお金は貯蓄性のある保険と、使うときを見越して、預け先を分散させておくのがベター。いまは超低金利なので、銀行に預けておくお金は300万円程度までなど上限を決めて、上手に資産管理してほしい」(深川さん)