常連客が追加で単品のシュウマイを注文
そんな下関氏が「戦前から伝わる由緒正しい浅草系のシュウマイを提供している」と言う一軒が、東京都・浅草駅から徒歩5分、創業90年の町中華『博雅』。夕方18時頃に訪問すると、店内では地元の常連客が瓶ビールやホッピーを傾けていた。
850円の「ラーメンセット」を注文すると、出てきたのはラーメンとライス、そしてシュウマイ。半チャーハンやギョーザをセットとして提供する店が一般的ななかで、シュウマイへのこだわりが感じられる。
こぶりなシュウマイを一口に頬張ると、豚肉のうまみと玉ねぎの甘み、それに皮の食感が渾然一体となったジューシーなうまみが口いっぱいに広がる。にんにくや香辛料のパンチに頼らない、上品な味わいが印象的だ。
女将の石塚純子さんに話を聞くと、「シュウマイを注文されるお客さんは増えていますね」と話してくれた。
「いつもランチに食べに来てくれているお客さんが、追加で単品のシュウマイを頼んでくださったりして。それでああ、ブームなんだなと感じます。
ウチは3年前の代替わりで夫が4代目の店主になったんですが、夫は90年の歴史ある厨房を預かることに当時プレッシャーを感じていました。そんなとき、昭和初期の三社祭りの写真が出てきたんです。そこに『博雅のシュウマイ』と書かれた看板が映っていて。それを見て『原点に返って、改めてシュウマイを売り出していこう』となりました。
レシピもほとんど残っていないなかで、代々受け継がれた味を先代と確認しながら作っているので、それを今の人に喜んでもらえるのは嬉しい限りです」
シュウマイブームはどこまで広がるか。