引っ越し先を選定するうえで、大きな要素となるのが「街選び」。治安の良さや自然の豊かさ、飲食店の充実度など、何を軸にするかは人それぞれだが、「おしゃれなイメージ」もその1つだろう。そうした街は、住みたい街ランキングでも上位常連であり“憧れの街”に一度でいいから住んでみたいと思う人も少なくない。だが、実際に住んでみると、理想と現実のギャップに「こんなはずじゃなかった」と感じる人もいるようだ。憧れのおしゃれな街に住んだ人に、あえて「がっかりしたこと」「想像と違っていたこと」を聞いてみた。
吉祥寺は“住む街”より“行く街”のほうがいい
3月3日、リクルートが発表した「SUUMO住みたい街ランキング2022 首都圏版」で2位にランクインした吉祥寺(東京・武蔵野市)。ランキング上位常連のこの街に長い間住んでいた30代女性・Aさん(金融機関勤務)は、こう振り返る。
「居心地のいいカフェや飲食店がたくさんある一方で、井の頭公園もあって自然豊か。どこか懐かしいハーモニカ横丁など、地方出身の私にとっては、都会の冷たい感じがしない、バランスが取れている街だと感じました」(Aさん)
実際に住んでみると、家賃の高さを別にすれば総じて満足度は高かった。だが、人気の街ゆえの吉祥寺の弱点も見えてきたという。
「住宅街のイメージもあるかもしれませんが、駅前はゴミゴミしていて人が多いし、休日ともなれば観光に来る人もいるのでなおさらです。駅の南側はバスの通る道が狭いので、歩くだけでも一苦労。あと人気カフェや飲食店も“よそから来た人”だらけで、1人でのんびり入るという雰囲気ではなく、思ったより楽しめませんでした。もちろんこれは私がそうだというだけで、1人のお客さんも多いんですけどね。
井の頭公園周辺は、花見のシーズンになると酔っ払いがうるさく怖い。隣の西荻窪か三鷹にすればよかったと後悔しながら、引っ越すのが面倒で5年ほど住んでいました。個人的には、“住む街”というより“行く街”にしたほうがいいかな、と思いました。自転車で行けるぐらいの距離がちょうどいい」(Aさん)