投資情報会社・フィスコが、株式市場の3月7日~3月11日の動きを振り返りつつ、3月14日~3月18日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で822.69円安(-3.17%)と大幅に4週続落。週足のローソク足は4週連続の陰線でマド空けを伴う形となった。
週明け7日の日経平均は764.06円安と急落。欧米諸国がロシア産原油の輸入禁止を検討しているとの報道で、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油の期近4月物が一時1バレル130.50ドルと2008年7月以来の高値を記録。実体経済への影響が懸念されるなかリスク回避の動きが加速した。8日も430.46円安と大幅に続落し、終値で25000円を割り込んだ。ロシアとウクライナの3回目の停戦交渉で進展がなかったことや、米国で超党派議員がロシア産原油・エネルギー製品の輸入禁止とロシア・ベラルーシとの貿易関係を解消する内容を盛り込む法案で合意したことなどが嫌気された。
9日も73.42円安と小幅ながら続落。ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)への加盟を断念する可能性を示唆したことで、停戦期待が高まり、朝方は上昇する場面もあった。しかし、不透明感を払しょくできず、燃料価格上昇に伴うインフレ高進への懸念も重しとなり、アジア市況が軟調ななか売りに押された。日経平均は安値で24681.74円まで下落し、昨年来安値を更新した。
10日は一転して972.87円高と5日ぶりに大幅反発。アラブ首長国連邦(UAE)が石油輸出国機構(OPEC)加盟国に増産を促していると伝わり、原油先物相場が急反落。スタグフレーション(景気悪化と物価高の併存)への懸念が和らいだほか、ウクライナのゼレンスキー大統領がロシアの要求する中立化などの点で妥協する姿勢を示唆したことも安心感につながった。その晩の欧州中央銀行(ECB)による定例理事会や米2月消費者物価指数(CPI)の発表など、イベント前に好材料が出たことが急速な買い戻しを誘い、日経平均の上げ幅は一時1000円を超えた。
しかし、週末11日は527.62円安と再び大幅に下落。ロシアとウクライナの外相による停戦交渉で進展がなかったことが失望感を誘った。また、2月の米CPIが前年同月比+7.9%と40年ぶりの高い伸びとなり、インフレ懸念が高まるなか米長期金利の上昇などが嫌気された。そのほか、ECBが資産購入プログラム(APP)の縮小ペースを加速させるなどタカ派的な政策決定を行ったこともあり、今週の連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め懸念が高まったことも重しとなった。
今週の日経平均はもみ合いか。15~16日のFOMCを睨んだ神経質な展開が予想されるほか、引き続きウクライナ情勢にも注意を払う必要がありそうだ。
先日のパウエルFRB議長の議会証言により、3月FOMCでは0.25ptの利上げ決定されることが濃厚。注目点は四半期に一度公表されるFRBメンバーによる経済見通し及び政策金利見通し(ドットチャート)と、バランスシートの縮小(QT)の開始時期への言及などだ。市場は現在年内に残る7回全てのFOMCで0.25ptの利上げが行われることをほぼ織り込んでいる。このため、ドットチャートの結果がタカ派サプライズとなる可能性は低い。むしろ、ドットチャートの中央値が市場予想より少ない利上げ回数を示唆する可能性もあり、この場合は相場の下支え要因となりそうだ。