近隣トラブルがこじれて世間を震撼させた事件も
がまんできる範囲ならいいが、こうした近隣トラブルが、大きな惨劇に発展することもある。実際のニュースを振り返ってみよう。
2019年6月24日夜、愛知県名古屋市の住宅街の路上で会社員の男性2人が無職の男(38才・当時)に包丁でメッタ刺しにされ惨殺された事件。男は被害者の1人・Aさんが住むマンションの向かいの一戸建てに住み、Aさんの路上駐車に不満を募らせていた。Aさんもまた、野良猫に餌をあげる男に立腹していたという。
事件は22時半頃、飲み会終わりのAさんが、男の家の防犯カメラに向かって叫んだことから口論に発展。Aさんを二十数か所も刺す凄惨さに世間は震撼した。
2015年11月6日、千葉県館山市で、男(76才・当時)が隣人男性に暴行し、溺死させた。そもそもは、被害者が「生活排水が自宅に流れ込んできている」と、加害者の男にクレームをつけ始めたのがきっかけ。だが排水は被害者が排水路を埋めたことが原因で、男の責任ではなかった。以降20年以上、1日4~5回威嚇を続ける被害者は近隣でも迷惑行為を働いており、加害者の男は「これ以上みんなに迷惑をかけないため」殺害したと供述した。
男は自治会長を務めた人物で、裁判には地元住民1000人の減刑を求める嘆願書が寄せられたことも話題を集めた。判決は懲役9年、現在も服役中だ。
隣人トラブルは数あれど、こじれる原因はコミュニケーション不足がほとんど。引っ越しの挨拶や、迷惑をかけたら謝罪するなど、ちょっとした手間を惜しまないことがトラブル回避の鍵かもしれない。
取材・文/辻本幸路
※女性セブン2022年4月7・14日号