「犬のいない寂しい生活」からの脱却
犬好きが高じて、ペットシッターを始めたのが、元不動産会社勤務の大島眞さん(70歳)だ。
「結婚してから40年、ずっと犬を飼ってきました。しかし、定年直後に飼っていたチワワが亡くなり、新しい犬を飼うかで妻と揉めたんです。『自分たちに何かあったら犬はどうなるのか』と反対された。だから、定年後は犬のいない寂しい生活だったのですが、飲み仲間にペットシッターをやったらいいと奨められ、始めました」(大島さん)
ペットシッター代行業者に登録して、依頼が来るのを待つだけだという。無資格でも始められるが、愛犬飼育管理士資格があると有利になるといい、講座受講代と試験代で2万円ほどかかるが最短1日で取得できる。
時給は1500円で、散歩だけの1回1時間というケースもあれば、半日、1日世話をするというケースもある。
「収入は月10万円ほど。収入面だけ見ればアルバイトと変わりませんが、都合の悪い日は断われるので、気が楽です。毎回違うペットシッターだとペットのストレスになるので依頼者も一度お願いした人にまたお願いする傾向が強く、軌道に乗れば意外に安定した仕事だと思います。留守宅に入るので、高齢の人の方が信用されるようで、シニアが強い珍しい職種です。コロナ禍でペット人気が高まっていることもあり、ネットの掲示板に個人で募集をかける人も増えています」(大島さん)