「まん延防止等重点措置」が全面解除されても、飲食店の客足は厳しい状態が続くようだ。飲食店の予約システムなどを手掛けるTableCheckによると、客足は回復基調にあるが、コロナ前の2019年比「約6割減」という厳冬が続いているという。かつてのような活気が飲食店に戻る日は来るのだろうか。コロナを経て、「飲み会」への意識はどう変化したのか。まん防明けの飲み会に不満を抱いているという2人の男女に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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妻と2人暮らしの千葉県在住の会社員ユウスケさん(仮名、30歳)は、コロナ以降、宅飲みにハマっている。
「コロナがきっかけで、飲食店の料理をテイクアウトすればお店の味を楽しめるようになった。お酒はスーパーマーケットで買えば安いし、料理が残ったら翌日食べればいい。自宅なら、時間を気にせずに妻と晩酌を楽しめることに気づいてから、宅飲みメインです。
まん防が終わった週末、久しぶりに妻とレストランに行きましたが、以前なら気にしていなかったはずの、2人で1万円超えの会計を『高い』と感じました」(ユウスケさん)
このまま宅飲みを楽しむ生活を続けようと思ったというユウスケさん。ところが、妻の意見は違ったという。
「妻は、『やっぱりお店で飲むお酒はいいね!』と、ノリノリ。金銭的な理由で乗り気になれなかった私は、妻の意見に賛同できませんでした」(同前)
妻はことあるごとに「お店で食事したい!」と、ユウスケさんを誘ってくるという。しかしユウスケさんはのらりくらりと誘いを断りつつ、宅飲みに誘導。最初のうちはごまかせていたものの、徐々に妻の不満は溜まっていき、ついには行動に移すようになったという。ユウスケさんはこう嘆息する。
「最近は私に何も言わずに1人で近所の居酒屋へ足を運ぶようになりました。どうやらその店で飲み友達もできているようで、先日は夜10時を過ぎてから帰宅。感染対策をしている店のようですが、お酒が入ってしまうと客同士の意識が低くなってしまうのではと不安もあります。飲み代はパート代から出しているようですが、我が家は共同財布ですので、腑に落ちません……」
話を聞くほど、コスパ重視のユウスケさんと、雰囲気重視の妻であることが伝わってくる。2人の意見の食い違いが解消されるまで時間がかかりそうな印象を受けた。