「ソニー時代、僕の秘書だった女性が諸般の事情で『会社を辞める』と言い出したことがあります。辞めるのはもったいないから、『今までとは関係のない部署で働いてみたら?』と提案して、彼女は『生産管理』に異動することになりました。しばらく経って、『どう?』と聞いてみたら、『こんな面白い仕事がソニーにもあったんですね』って、失礼なことを言うんです(笑)」
「会社は可能性の宝庫です。だから、どんどん手を挙げて越境すればいい。部署を替えて、新しい仕事に挑戦するのは、“起業”に近いと思いませんか」
「今の会社を辞めて起業すれば、何もかもリスクを自分一人で背負わねばなりません。しかし、サラリーマンなら会社が楯になって守ってくれる。サラリーマンだからこそ冒険できるのです。さまざまな経験を積むことによって、自分のバリューを高めていくこともできるのです。サラリーマンは、冒険ができる素晴らしい職種なんですよ」
「ずっとサラリーマンをしていると、自分がいる環境が当たり前になってしまって、気づかないものですが、大企業でサラリーマンというのは経済的にも法律的にも、ベンチャー企業にいたら得られないさまざまな恩恵を受けています。その恩恵を受けながら、ベンチャー起業家のように社内で起業する、あるいは社内で転職するというのは、ローリスクで大きなリターンを得られるということです」
「だから、むしろ積極的に“社内起業”“社内転職”しないと損だと思います。50代、60代でもまだ間に合います。この年代になると、サラリーマン人生の先が見えてきますが、見えてきたからこそ、一念発起して、レールからはずれてみてもいいのではないでしょうか」