2021年、早稲田大学文学部・文化構想学部の入学式には、同大学出身で、今年のアカデミー賞国際長編映画賞を獲得した映画『ドライブ・マイ・カー』の原作者である作家の村上春樹さんが自身のキャンパスライフを振り返った。
《ほかの人に読んでもらう文章を書くのは、結構頭を使いますから、必要に応じて頭を一応働かせます。でも秀才、優等生じゃないくらいがちょうどいい頃合いなんです。なかなかね、そのへんの頃合いを見つけるのは難しいです。皆さんの中には、文学部、文化構想学部ですから、小説家になりたいと思っている人もいらっしゃると思いますけど、そのいい兼ね合いをうまく見つけてください。早稲田大学って、そういう作業には結構適した環境なんじゃないかと思う》
2015年には、音楽プロデューサーのつんく♂が近畿大学の入学式に登壇し、喉頭がん手術で声帯を全摘出したことを祝辞で発表。世間に衝撃を与えた。
《去年から喉の治療をしてきていましたが、結果的にがんが治りきらず、摘出するよりほかならなかったからいちばん大事にしてきた声を捨て、生きる道を選びました。
私も声を失って歩き始めたばかりの1回生。皆さんと一緒です。こんな私だからできること。こんな私にしかできないこと。そんなことを考えながら生きていこうと思います》
メッセージはスクリーンに映し出され、新入生の心に響き渡った。
学校法人角川ドワンゴ学園が運営する「N高等学校」が、2017年に日本で初めて開催したMR(複合現実)入学式には、当時、「世界一貧しい大統領」として注目されていたウルグアイ元大統領のホセ・ムヒカ氏が登場。
サプライズの特別来賓となったムヒカ氏は「生きること」の意味を若者に説いた。
《自分や大切な人を守るためにエゴは必要ですが、忘れないでください。人間は社会を必要とし、他者なしでは生きられないということを。そして、覚えていてください。生きている奇跡こそが最大の幸福だということを。命は大切に扱い、守らねばなりません。そして、毎日を精一杯生きてください。痛みや試練を伴ってもなお人生の美しさは褪せません。生きるということは、転んでは立ち上がり、前に進むことの積み重ねなのです》
※女性セブン2022年4 月21日号