4月を迎え、ティッシュペーパーや食用油、電気代まで大幅に値上がりした。一方で、年金受給額は減っている。令和4年度の公的年金の受給額は、前年度から0.4%引き下げられた。具体的には、国民年金は満額で前年度から月259円、厚生年金と合わせると、賞与を含む平均標準報酬が月43.9万円のモデル世帯で40年間保険料を納めた場合、夫婦ふたりの基礎年金と厚生年金の満額から月903円の減額となる。
「年金博士」として知られる、ブレイン社会保険労務士法人の北村庄吾さんが言う。
「年金は2か月分が一気に支払われるため、今回の減額された年金を最初に受給するタイミングは、4・5月分が振り込まれる6月15日です。この日に初めて受給額が前年度より減っていることに気づく人がほとんどでしょう。このマイナス改定は、下がり続けている現役世代の賃金に連動しています」
コロナ不況が続けば、この先も受給額はどんどん下がっていくかもしれない。2022年度からの年金制度の変革はこれだけではない。もっともわかりやすい変化が、4月1日から「年金手帳」が廃止されたことだ。
国民年金や厚生年金に加入すると交付されてきた年金手帳には、10桁の「基礎年金番号」が書かれており、これが年金に関する各種手続きに使われてきた。だが、4月以降に新たに加入した場合は、クレジットカードのような「基礎年金番号通知書」が配布されるようになっている。
「年金手帳は、基礎年金番号を確認するためにしか使われてきませんでした。にもかかわらず、転職のたびに新たに発行されていたため、“消えた年金記録問題”につながった。そこでようやく、基礎年金番号に一本化されたのです。年金にかかわるほとんどの手続きはマイナンバーで行うことができますが、基礎年金番号が必要なケースもあるため、廃止されたからといって年金手帳は廃棄しないように注意してほしい」(北村さん・以下同)