飲食店に行った際、「注文と違うものがきた」、「料理がなかなかこない」といった“小さなトラブル”は珍しくない。それくらいなら店員に言えばすぐに対応してくれるだろうが、なかには客側が想像していない“想定外”のことが起こることもある。そういった時、客としてはどういう態度を取ればいいのだろうか。そんな事態に遭遇したことのある人に話を聞くと、「もちろん店側に伝える」という人もいれば、「言わずに我慢する」という声も聞こえてくる。「店に言わない・言えない」という人たちは、どのような心境なのだろうか。
3口ほど食べて異変を察知したが…
都内に住む会社員・Aさん(40代男性)は、とあるチェーン店の中華料理店で、“まさか”の料理が出てきて困惑した経験があると明かす。
「回鍋肉定食を注文したんですが、出てきた回鍋肉に肉が入っていなかったんです。まさかそんなことになっているとは思っていなかったので、何も疑いもなく食べ始めて、3口ほど食べたところで、“あれ、肉に当たらないな”とふと思ったんです。そこで料理を改めて確認してみたら、まったく肉が入っていなかったんです」(Aさん)
しかしAさんは、明らかに店側のミスを確信しながらも、店員に「肉が入っていない」と伝えることができなかった。
「料理が届いてから5分くらい経っていて、しかもすでに少し食べた後でした。その時点で『肉が入っていないんですけど……』と言って、取り替えてもらうこともできたのかなと思いつつも、『言いがかりと思われるのでは?』と不安になってしまったんです。あと、“肉だけ入っていない”という経験が初めてだったので、周りのお客さんに『クレーマーじゃないか?』と変な目で見られるのも避けたかった。結局、何も言わずに完食して帰りました」(Aさん)
飲食店で、注文した料理の一部の具材だけが入っていないというミスは意外にも珍しくないという。外食チェーンに詳しいライターの小浦大生氏はこう話す。
「中華チェーンの場合、同じ具材で味付けだけが違ったり、味付けは同じで具材の一部が違ったりなど、レシピが結構似通っていることもあるんですよね。回鍋肉でいえば、野菜の部分は野菜炒めとほぼ同じ具材で、そこに肉を足して作るというケースもある。忙しい時間帯だと、調理スタッフが混乱するということはありうると思います。レシピが簡略化・パターン化されているチェーン店こそ、こういったミスが生じがちです。まだあまり手を付けていない状態であれば、店に注文内容を確認してもいいでしょう」