北村氏は何歳から受け取るかを考えるうえで、夫婦で老後の計画を立てることが重要だと強調し、「そのためにはまず、お互いの年金額の見通しを共有すること。それができていない夫婦は非常に多い」と指摘する。
そのうえで、年金の新ルールを活用した家計防衛術として、「確定拠出年金を上手に使うこと」を推奨する。
「今年10月からの制度改正では、会社員が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入しやすくなります。iDeCoは将来のために自分で積立金を拠出していく仕組みですが、拠出額が所得控除されるため、節税効果が大きい。物価が上がった分を税金で取り戻すという考え方ができるのです。
例えば確定拠出年金に月1万円ずつ、年12万円を入れていくと、所得税と住民税で20%程度の所得水準の人の場合、積み立てた額の20%にあたる2万4000円分の税金が浮くわけです。インフレによる負担増を十分に補える水準の節税とも言えます。額に上限はありますが、個人年金保険の加入でも同様の効果が見込めます」
さらに北村氏は、「節税という観点では、自治体に寄付をすると2000円の自己負担を除いた額が控除されたうえに、日用品などの返礼品を受け取れるふるさと納税も効果が大きい」と付け加えた。困難な状況が目の前にあるからこそ、使える制度は使い倒す姿勢が何より重要だ。
※週刊ポスト2022年4月29日号