2014年に取材したジャーナリストの大西康之氏はこう話す。
「人と話すのはあまり得意ではなく、取材中もこちらの目をまっすぐ見て話すことはありませんでした。プレゼン上手というよりは、エンジニアらしく自分の信じたことに猪突猛進するタイプなのでしょう」
マスク氏は数々の事業の成功が評価されている一方で、しばしばSNSでの発言や仕事への度を越した取り組みに批判の声が上がる。
2018年7月、浸水した洞窟にタイの少年たちが閉じ込められた際、マスク氏は彼らを助けるべく小型潜水艦を数時間で開発し、テスト動画をツイッターに公開。これに対し、救助を行なったダイバーが「単なる売名行為で、成功する可能性は皆無」と批判すると、マスク氏はダイバーを「小児性愛者」と根拠もなく罵倒した。
また2020年5月には、コロナ禍により企業を一時的に閉鎖するよう政府から要請があったにもかかわらず工場を再開。出社しなかった従業員を解雇したことも非難を浴びた。
「周囲とバランスを取ったり、他人からの評価を気にしたりしないのでしょう。人格的にはバランスが悪く、決して常識人であるとは言えない。半径2メートルにいたら嬉しい人ではないですよね(苦笑)。でもだからこそ、歴史を変えるような経営者になれるのだと言える」(大西氏)
※週刊ポスト2022年5月6・13日号