新電力大手の「あしたでんき」(運営会社は「TRENDE株式会社」)が2022年6月末で電力供給を終了することがわかった。4月27日、公式ホームページで告知され、契約者にも終了を知らせるメールが送付された。新電力は資源価格高騰で各社が新規契約の申し込み受付を一時停止するなどしていたが、ここにきて大手の一角が供給終了することになり、2016年4月にはじまった「電力小売自由化」は大きな岐路を迎えた。
あしたでんきが契約者に送った「ご案内」メールによると、〈石油・天然ガス・石炭等、電気を作り出すために必要な資源価格が継続的に高騰しており、それに伴い、電気の仕入価格も著しく高騰しております。かかる仕入価格高騰が好転する見通しが立たないことから、供給終了をさせていただく次第です〉とした上で、〈あしたでんきの電気の供給を全エリア・全プラン終了させていただきます。最終供給日は2022年6月30日となります。2022年7月1日以降は供給を行いません〉という。
メールが届いた契約者のひとりが明かす。
「供給終了に伴い、他社にスイッチング(契約変更)しなければならないそうです。契約者向けの詳細な説明が書かれたサイトでは〈2022年6月30日までにスイッチングが完了しなかった場合、無契約期間となります。無契約期間が続くと、電力の供給が停止されますのでご留意ください〉とあり、すぐにでも変更先を考えなくてはいけません……」
新電力各社は、2016年の電力小売自由化以降、順調に契約者を伸ばし、全電力量の約2割にまでシェアを伸ばしていた。ところが、2021年から日本卸電力取引所(JPEX)の取引価格が高騰。そこから電力を調達していた会社の経営が悪化した。東京商工リサーチによると、新電力の2021年決算を集計したところ、56.3%が赤字だったという。
そこへ、ロシアによるウクライナ侵攻が拍車をかけた。ヨーロッパのLNG(液化天然ガス)市場が高騰し、エネルギー市場は不安定化。3月までに、あしたでんきをはじめ「楽天でんき」(運営会社は楽天エナジー)、「まちエネ」(運営会社はMCリテールエナジー)など多くの会社が新規契約の申し込み受付を一時停止していた。前出の契約者が語る。