社会人になってから嫌味を言われたことも
就職活動の際には、大学受験が推薦だったか一般受験だったか尋ねてくる企業もあったという。
「エントリー段階や面接で、数社に受験方式を聞かれることがありました。推薦だと選考不利になるのかどうか、ある企業の人事の方に質問すると、『参考程度なので……』という答えでした。たとえ影響があったとしても、今さらどうにもならないので、中高時代から継続して努力してきたことをアピール。それが功を奏したのか、その企業では内定が出ましたし、筆記試験の成績が良かったともほめられました。
あくまで個人の経験ですが、推薦入学で不利になることはないように思います。むしろ、学校を休まないとか、ものごとに対して真面目に取り組むといったことは評価されると聞きました」(Aさん)
しかしAさんは社会人になり、話の流れで自分が推薦入学だったことを明かすと、嫌味を言われたこともあったという。
「『なんだ推薦か、挫折知らずで羨ましい』とか、『学校行ってれば受かるやつ?』『勝負から逃げたいタイプか』など、推薦を小バカにするような人には会ったことがあります。確かに一般受験の人たちは、私には計り知れない努力もしたんだろうと思いますけど、兄の言う“入った者勝ち”じゃないですか。私だって、真面目に勉強してきたのは当然ですし、学校内でトラブルを起こさないとか、勉強に加えて注意して生活してきた自負はあります」(Aさん)
受験勉強を経験していないことから、「楽」だと思われがちな推薦入学者。だが実際には、高校時代に継続的な努力が前提で、大学入学後には“母校の看板”という重圧もある。今後、少子化の進行で推薦入試で入学者を確保する大学も増えることが想定される。推薦入学のほうが多数派という時代は、すぐそこまで来ているのだろう。