《岸田首相、GW外遊。東南アジア・欧州各国で調整》──コロナ禍の中、半ば“鎖国状態”で迎えた3度目の大型連休だが、新聞各紙にはこんな見出しが躍る。岸田文雄首相はこの連休を利用し、ウクライナ侵攻をめぐってロシアに厳しい姿勢を貫く欧米諸国と、及び腰な東南アジア諸国との橋渡しのためにタイやベトナム、イギリスなどへの訪問を予定している。
もちろん首相の外交と同じようにはいかないが、海外渡航のハードルは下がりつつある。観光業界専門紙『トラベルニュースat』編集長の富本一幸さんが言う。
「ゴールデンウイークを機に、大手旅行会社はハワイなど海外旅行のパッケージツアーを再開しています。『3回のワクチン接種をしていれば自宅待機なし』など出入国に伴う規制が少しずつ緩和されているのです」
つまり、かつてのように大型連休を海外でリフレッシュできる状況が整ってきているということ。しかし実際に渡航するとなれば、さまざまなハードルがあるのが現状だ。
トラベルジャーナリストの橋賀秀紀さんは今年4月初旬、5日間の日程でタイのバンコクを旅行した。旅のプロである橋賀さんにとっても、2年ぶりの海外だった。
「レストランなどは現地の人で賑わう一方、観光地は人が少なくて快適でした。しかし、陰性証明書やワクチン接種証明書など各種書類の準備や手続きは想像以上に大変なものでした」(橋賀さん・以下同)
特に手間取ったのが、PCRなどの検査だ。橋賀さんは5日間の旅行のために4回も検査を受けている。
「1回目は日本を出国する前。現地での入国時に足止めを食らわないために、自治体が行う無料のPCR検査を自主的に受けました。もし入国時に陽性が出ると、すぐに10日間の隔離となって、旅行どころではなくなりますから。
2回目はタイに入国するとき。空港到着後、ホテルまでの送迎車に乗り、車内かホテルでPCR検査を受けます。検査結果が出るまで9時間かかりましたが、その間はホテルの部屋から一歩も出られませんでした」