生命保険文化センターが2019年に行った「生活保障に関する調査」によると、「老後生活が経済的に苦しくなること」を不安に思っている50代女性は52.1%と半数以上だった。50代は老後のために貯金をしておくべき時期なのかもしれないが、お金を貯めることはそう簡単ではない。
「私のところにも教育費や住宅ローンなどで貯金がないと悩む50代のかたが多く相談に訪れます。無理に貯金をするよりも、長く働くことを考えた方が現実的だと思います」
と、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは言う(「」内、以下同)。
貯金や退職金があっても、子供の住宅購入の頭金や、孫の教育資金にとねだられ、自分の老後資金に回せないケースも少なくないという。見栄を張らずに貯めたお金は自分たちのために死守すべきだ。そして、元気なうちは働いた方がいい。それも、若いとき並みに働けというわけではない。
総務省「家計調査」(2019年)をもとに、夫65才以上で妻60才以上の無職世帯の平均支出額を算出すると、公的年金だけでは、月約3万円、生活費が不足する。
「つまり、年金だけでは不足する、約3万円分だけ働けばいい。仕事をしていると、職場や地域とつながり、コミュニケーションスキルも向上。健康寿命を延ばすためにも、メリットがあると思います」
高齢者が働けるよう、制度も変わりつつある。2021年4月に「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、65才になるまでの雇用確保義務に加え、70才になるまでの就業確保措置が努力義務となり、実際に70才まで働く人は増えた。