夫婦ふたりで月々最大40万円以上に
まず注目したいのが、年金の受給開始時期を遅らせる「繰り下げ」の上限年齢の引き上げだ。これまでは、受給開始を遅らせられるのは70才までだったが、この4月に75才まで遅らせることができるようになった。
年金の受給開始年齢は、原則65才。66才から1か月単位で遅らせることができ、遅く受け取るほど、年金額が増える仕組みになっている。
具体的には、1か月遅らせるごとに0.7%増額される。これまでは繰り下げの上限が70才だったため、受給額は最大42%まで増やすことができた。
それが4月からは75才まで繰り下げられるようになったので、受給額を最大84%まで増やせるようになったのだ。
「夫婦ふたり暮らしで、夫の賞与を含む平均標準報酬が月43.9万円の世帯をモデルとすると、40年間保険料を納めていれば、満額の基礎年金(月々13万円弱)に厚生年金もプラスされると想定した場合、夫婦の年金額は月々40万5000円ほどに増える計算です」(北村さん・以下同)
一方、受給開始時期を早める「繰り上げ」は、1か月早めるごとに0.5%、受給額が減らされる仕組みだった。だが、これも4月から、減額率が0.4%に縮小された。
例えば、受給を5年早めて60才から受給開始にすると、これまでなら30%減額だったところ、24%減で済むことになっている。
ただし、今年4月2日以降に60才を迎える人のみが対象で、それ以前の人は繰り上げによる減額率の縮小は適用されないので、ぬか喜びはしないように。