働いている人ならさらに年金が増える
受給を75才まで遅らせることができるようになったのは、それまで元気に働ける高齢者が増えてきているということ。事実、働く高齢者がより年金を受け取りやすくなるよう、次々と制度が変更されている。
働きながら受け取る「在職老齢年金」は、これまで60~64才までは、仕事で得る収入と年金収入の合計が月々28万円を超えると、年金が減らされる仕組みになっていた。
ところが、4月からこの上限が月々47万円までに引き上げられた。そして「在職定時改定」により、65才以上でも、働いて厚生年金の保険料を納めていれば、その分がすぐに受給額に反映されるようになった。
「4月からは、65才以上の人が厚生年金の被保険者として働いている場合、その年の8月までの納付実績に応じて、10月に年金額が改定されるようになりました。例えば、年収240万円の人の場合は、受給額が年間約1万3000円ずつ上がっていくことになります」
これまでのように、受給額が減るのを恐れて仕事量をセーブしたり、汗水たらして働いたがために、年金が減らされるようなことはほとんどなくなる。
さらに10月からは「厚生年金の適用拡大」が行われる。これまでは、厚生年金に加入できるのは「従業員数501人以上の事業所」といった条件があった。それが今年10月に「101人以上」になり、2024年10月からは「51人以上」と、段階的に基準が下がっていく。
「週20時間以上、2か月以上働き、月給8万8000円以上」という条件を満たせば、パートやアルバイトなどの非正規雇用でも加入できる。