死後に見知らぬ家族が増える
残された秘密の内容によっては、裁判で争うほどに家族仲がこじれることもある。その代表が隠し子問題だ。ベリーベスト法律事務所の弁護士・遠藤知穂さんが解説する。
「“隠し子”として、秘密にしていても、認知すれば戸籍に記載されます。そのため、生前家族には存在を隠していたとしても、死後の相続手続きで戸籍謄本が必要になるため、そこで必ず明らかになります」
まれだが、戸籍に記載がない子供が死後に現れるケースもある。
「認知されていない子供であっても、DNA鑑定等によって親子関係が認められれば、遺産の相続権が生じます。これは『死後認知』といい、婚外子側が裁判所に提起します。民法で定められている遺産の取り分(法定相続分)は、配偶者が2分の1で子供が残りの2分の1。子供が複数人いる場合、遺産の2分の1を子の数で分割するため、婚外子がいれば1人あたりの取り分は減少します。そのため、死後に婚外子の存在が明らかになると、相続財産の額に関係なく相続争いが起こりやすく、調停や審判へと発展することが多いのです」(遠藤さん)
思わぬ相続人が増える事例はほかにもある。相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美さんが言う。
「血のつながりのない他人と、家族の知らないところで養子縁組をしていたケースがあります。たとえ亡くなった時点で疎遠になっていて、ほとんど交流がなかったとしても、離縁していなければ法律上は相続人になる。実子と折り合いが悪く、将来の面倒を見てほしいなどの理由で養子縁組をしているケースもあり、遺された人は複雑な感情を抱かざるを得ません」(明石さん・以下同)
※女性セブン2022年5月26日号