年々増え続けている「空き家」。誰も住まなくなった実家の処分に直面する人も少なくないだろう。空き家をそのままにしていると固定費の支払いに追われるだけでなく、不法侵入をされたり、火事になったりなど、様々なトラブルに巻き込まれることもある。
家を維持管理するには高額な費用がかかり、かといって解体するには数百万円の費用がかかるうえに売れないこともある。更地なら管理は楽だが、固定資産税が跳ね上がる。一体何が正解なのか。
「まずは相続する時点で、共同名義にしないことが鉄則です」とオラガ総研代表の牧野知弘氏は話す。
「共有する兄弟の間で意見が合わないと永久にどうにもならない。私の知るケースでも、兄弟の意見のすりあわせだけで10年以上かかっている家庭はたくさんあります」
相続するなら、売買を即決できるように所有者は1人にするのがいい。そして、処分するつもりなら、“できるだけ早く”が望ましいという。
「相続から3年以内に売却すると、税制上で優遇される場合もあります。不動産の売却益には不動産譲渡所得税がかかりますが、3年以内なら『空き家にかかる譲渡所得の特別控除の特例』で3000万円が控除されます。他にも細かな条件があるので注意が必要ですが、3年以内が一つの目安になります」(同前)
二束三文でも売れない家の場合は「とにかく手放すことだけを考えるのが重要」と相続手続カウンセラー協会の米田貴虎代表は語る。
「前の道路が狭くて再建築不可になっている家を相続した方が、近隣住民に相談したところ、倉庫として使いたいという人が出てきた。その人は買い手に解体の手間賃として100万円を渡し、100円で家を売りました。
たった100円でしか買い取ってもらえず、99万9900円の出費ですが、持っているだけで起こるトラブルや維持費を考えたら売って正解です」