大規模修繕とは、「建築物の主要構造部の一種以上について行なう過半の修繕」です。したがって、壁や柱の半分以上の修繕はできません。しかし、小規模の修繕はできるので、建物を長く維持することは可能です。とはいえ、土地に完全な効用がないことは否定できず、価値も大きく下がります。そのため、不動産を購入する際、接道条件の有無は非常に重要な要素なので、仲介する宅建業者が説明すべき事項になっています。
さて、その解消ですが、再建築不可物件であっても建物が使用できる限り、無価値とはいえません。所有者が、周囲の環境にふさわしいリフォームができるように支援する制度を整えるか、公で買い上げるくらいしか思いつきません。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2022年5月27日号