地方移住者のお金を巡る問題に詳しい行政書士の柘植輝氏も、「田舎は物価が安いと誤解している人が多い。特に住まいの改修は注意が必要」と指摘する。
「リフォーム代の平均額は、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の調査によると356万円とされます。しかし最近流行りの古民家改修は、リフォーム費用のボリュームゾーンが500万~2000万円で、20.5%の人が1501万~2000万円かけています(『古民家再生リフォーム費用の相場・目安』/パナソニック)。そして、築年数が古ければ古いほどお金がかかります。5~10年に1度は外壁や水回りなどのメンテナンスが必要で、それには20万~80万円がかかる。よく考えないと失敗に陥りがちです」
前出のAさんは、「田舎に越すなら古民家と思っていました。最悪、民宿にすればいいかと考えていたのですが、そば屋が失敗した後ではその資金もありません」とうなだれる。憧れが先行して無謀な計画を立てることは避けなければならない。