キャリア

「まだExcelにも苦労してます」元フェアリージャパンが挑む大手証券会社でのセカンドキャリア

東海東京証券の人事部で働く松原梨恵さん(本人提供)

東海東京証券の人事部で働く松原梨恵さん(本人提供)

「2021年に正式に現役引退するまでは1年に2~3回ほどしか出社していませんでした。10月の『世界選手権』までやって、やっと心の底から満足した笑顔で演技を終えることができました。これで心置きなく引退できると思えて感無量でしたね。その後、センターを出て一人暮らしを始めました。本格的に仕事が始まったのもここからで、人事部に配属されて“普通の社員”として出勤しています」(松原さん)

 ただ、その会社員生活は決して甘いものではないようだ。これまで五輪でのメダル獲得を目指し、新体操の練習だけに邁進してきた生活からは一変。悪戦苦闘の毎日だという。

「一応、会社には何年か在籍していたわけですが、実務はほぼ新入社員です。お恥ずかしい話、パソコンのキーボード入力も大学時代のレポート提出時に使った程度で、ものすごく時間がかかっています。経費精算のExcel入力に1日がかり――なんていう日もありました。今のところ日々任された雑務をこなしているという感じです。それこそ『コピーを取る』とか、そういった状況ですね。

 正直戸惑うことも多く、とにかく『私って新体操以外、こんなに何もできないんだ!』という現実に否応なく気づかされる毎日です。それと同時に『現役だった時には、私が競技に専念できている裏で支えてくださっていた方がたくさんいたんだ』ということを身をもって実感し、改めて幸せな競技人生だったと感謝の気持ちでいっぱいになりました」(松原さん)

 今は不慣れな仕事に戸惑う日々の松原さんだが、会社から寄せられている期待は「厳しい練習で培ったメンタルやチームワーク、それらをビジネスで活かせること」だと言う。

「フェアリージャパンというチーム競技の中で繰り返し練習して培った忍耐力や世界でトップになるためのやり遂げる力や協調性や助け合いは、会社でのチームワークでも活かせると思います。

 また、スポーツと仕事内容は違いますが、自分が学んできたことを社員の方にも発信し、業務をする上で少しでも何かのヒントになったら良いなと思います。

 例えば私自身がデスクワークを経験し始め“こんなにも体を動かさないのか!”と痛感したことなども、社員の皆さんにとって何か役に立つよう活かしたい。社員の方へ向けた健康体操やストレッチなど、みんなが元気に健康で業務に励める環境作りに貢献することもできるかもしれない。私が長年、経験してきた新体操を生かせたら良いなと思います」

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。