それでは、遺言書はどのように作っていけばいいのか。一般的に【6】遺言書は「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」のどちらかとなる。【7】自筆証書遺言は被相続人が自筆で作成する。一方、【8】公正証書遺言は公証役場で公証人と2人の証人が立ち会い作成する。
「基本的にどちらも効力に違いはありません。【9】自筆遺言は費用がかからず紙とペンと印鑑さえあれば気軽に作成できますが、【10】紛失するリスクや内容の不備により無効になることもある。ただし、【11】2020年7月からは法務局で保管をしてもらえる制度がスタートし、紛失のリスクが減りました」(曽根氏)
また、【12】自筆遺言は何度でも作り直せるメリットがある一方で、【13】開封時には相続人が全員立ち会いのもと家庭裁判所で検認を受ける必要があった。それが【14】法務局保管なら検認不要になるし、【15】法務局では書類の不備のチェックも受けられる。
保管には【16】必ず本人が法務局に出向かなくてはならない。その際には【17】遺言書と保管申請書、本籍の記載のある住民票、顔写真付きの本人確認書類と3900円の手数料を管轄の法務局に持参する。
「法務局には遺言書の存在を通知してくれるサービスもありますが、それでも【18】遺言書を作成したら必ず家族に知らせておくのが鉄則です」(曽根氏)
そうすることで、死後に遺言書が見つからない事態を防げるのだ。
こんな表現はNGです
遺言書作成の手順は、まず【19】相続人の数を確認する。次に【20】保有する財産をリストアップし、「財産目録」に書き出す。そして、【21】誰にどの財産を残すか決めて遺言書を作成するという流れになる。
財産目録は不動産や預貯金、ネット銀行などのデジタル資産といった【22】保有財産をすべてできるだけ詳細に記入する(図【23】~【27】も参照)。【28】預貯金は銀行名、口座番号を記入し、【29】有価証券は銘柄ごとに株数や証券口座名を記入していく。その際、【30】不動産登記事項証明書や固定資産税の納付書、預金通帳や保険証書、証券取引口座の残高証明などを用意して正確に書くことが望ましい。また、【31】忘れてはならないのが負債の記入だ。借金も相続の対象になるため、必ず記入する。