【49】あとから遺言書が見つかった場合、「遺言書が優先される可能性が高い」と曽根氏は言う。
「稀なケースですが、すべての相続手続きが完了した後に遺言書が出てきた場合、遺産分割協議をなかったことにできる。ただし、もめないためには先に相続人全員で合意した協議内容で進めるほうがよい。
とにかくトラブルを避けるには、【50】遺言書の保管場所を家族に知らせることが大切。法務局に預けるか、【51】遺言執行者に預ける方法もある。執行者は弁護士や税理士、行政書士、あるいは信頼できる人や相続人でも指定可能ですが、【52】遺言執行者を自筆遺言に記していないと改めて家庭裁判所で選任する必要があるので、大変手間がかかります」(曽根氏)
被相続人の気持ちを残す【53】「付言事項」の書き方にも注意が必要だ。
「付言事項には遺言書の内容を決めた経緯や感謝の言葉などを残すのが一般的です。しかし、『今までこういう苦労をかけられたからお前には何もやらない』『嫁に虐待された』といった恨みつらみを書き連ねる人もいます。心情を吐き出しておかないと気持ちが収まらないのでしょうが、残された家族はショックを受けます。【54】感謝の言葉や良いメッセージを書くと残された家族も前向きになれます」(曽根氏)
適切な遺言書がスムーズな相続につながる。それを家族全員が理解できるようにするとよいのだ。
※週刊ポスト2022年6月3日号