各社の決算の中身を見ていくと、同じような商品やサービスを提供している2社でも、業績に大きな差が出ている業界がある。たとえばユニクロと無印良品の衣料品を比べると、似たような価格帯で、似たような商品を販売しているように見えるが、今期前半の業績では、明確に差が出ている。
ファーストリテイリング(ユニクロ)の2022年8月期の中間決算(2021年9月~2022年2月)は、売上高が1兆2190億円で前年同期比1.3%増、営業利益が1893億円で12.7%増の増収増益となった。
一方の良品計画(無印良品)の場合は衣料だけではないが、上期(同前)の売上高が2445億円で7.1%増の増収となったものの、営業利益は189億円で19.4%減と減益になっている。
この違いを日本経済新聞社編集総合解説センターの編集委員、田中陽氏はこう分析する。
「自粛緩和の影響が出たと思います。巣ごもりから解放された消費者が『日常に戻ろう』としているときに、ユニクロが支持された。ユニクロの衣料はカラフルで、デザインも多彩で、ウキウキ感をすくい取ります。ユニクロの決算書には『欧州が大幅な増収増益』とあり、まさにマスクをはずして外出しようという気持ちが業績に表われている。
それに対し、無印良品はベーシックがコンセプトなので、落ち着いた雰囲気がややマイナスに働いたのでしょう」
世界が本当に日常に戻ったときに、無印良品がじわじわ巻き返してくるのかもしれない。
※週刊ポスト2022年6月10・17日号