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鉄道会社、業績のカギとなる事業構成 近鉄はホテルに見切りをつけ物流業界に活路

グループ会社の物流事業が好調だった近鉄(時事通信フォト)

グループ会社の物流事業が好調だった近鉄(時事通信フォト)

 鉄道会社の業績を細かく見ていくと、そこに明暗が浮かび上がってくる──。同じような事業を展開しているのに、どこで差がつくのだろうか?

 私鉄の世界で、東の雄と言えば東急、西の雄は近鉄だろう。2022年3月期決算でこの2社を比較すると、売上高は、東急が6.1%減に対して近鉄は微減。営業利益はどちらも黒字だが、当期純利益は近鉄が427億円、東急が87億円と近鉄に軍配が上がる。

 最終的な業績だけで見ると近鉄が明、東急が暗に映る。鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏は、事業構成が影響したという。

「コロナ以前、大手私鉄は運輸事業と不動産事業で営業利益のほとんどを稼いでいました。レジャー・ホテル事業は各社の顔ですが、決して儲かっていたわけではない。コロナ禍でも不動産事業は堅調でしたが、レジャー・ホテル事業は非常に厳しくなり、各社とも巨額の赤字を出した。東急は167億円、近鉄は216億円の赤字です。

 それでも近鉄が当期純利益で上回ったのは、ホテルの売却益を得たほか、物流会社の近鉄エクスプレスが巣ごもり需要で好調だったことも影響しました。マイナスのホテルに見切りをつけ、活況を呈する物流業界に活路を見出したということでしょう」

 鉄道会社の業績を左右するのは、鉄道以外の事業ということか。

※週刊ポスト2022年6月10・17日号

東急はホテル・リゾート事業で167億円の赤字を計上(写真/共同通信社)

東急はホテル・リゾート事業で167億円の赤字を計上(写真/共同通信社)

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