群雄割拠の回転寿司業界。業界のトップを走っているのはスシローだが、ここにきてそれをくら寿司が猛追している。日本金融経済研究所代表理事の経済アナリスト、馬渕磨理子氏が解説する。
「今年1~3月の3か月の業績を見ると、売り上げが前年同期を下回っているのがスシローで、くら寿司は前年を上回り、堅調という構図です。スシローは2022年の業績見通しでは、営業利益は34%減を見込み、この先は厳しいとされています。
スシローの強みはなんといっても味ですが、それに対してくら寿司は、『鬼滅の刃』などの大ヒット作とのコラボ企画、和のテイストが強いグローバル旗艦店の出店など、スシローより先進性が目立ちます」
スシローの売上高は2408億円(2021年9月期)であるのに対し、くら寿司は1475億円(2021年10月期)。今後、逆転はあり得るのか。
「スシローには財務的な体力があります。スシローの強さを表わすのが販管費率。売上高に対して、人件費や運搬費、広告宣伝費などの費用がどれだけ掛かったかを示す数値で、くら寿司は52%なのに対し、スシローは47%に抑えている。
スシローはくら寿司よりも、コスパが良いということ。今後原材料が高騰すると、こうしたスシローの強みが活かされるのではないでしょうか」(同前)
回転寿司は2強状態になりつつある。スシローは業界トップを死守できるか。
※週刊ポスト2022年6月10・17日号