世界より遅れている日本の金融教育
東京都初の公立中学校民間人校長を務めた教育改革実践家で『60歳からの教科書 お金・家族・死のルール』の著者である藤原和博さんは、お金を使った結果“物語”が生まれなければ、それは「死に金」だと語る。
「高級車を購入したとしても、人との会話やつながりは生まれません。一方で“思い出の場所でマンションの一室を購入する”など、あえて自分でも思いもしない方向に“賭ける”と、そこでの出会いがあったりと、物語につながるかもしれない。あぶく銭なら、見栄のためのモノなどではなく、人とのつながりのために使った方がお金が生きるでしょう」(藤原さん)
今年4月から、日本の高校でもようやく金融教育が始まった。だが、学校で教わるのは、投資の仕組みや貯蓄の仕方、クレジットカードやローンの注意事項であり、人生を豊かにするお金の使い方は教えない。
「日本の金融教育が世界より遅れているのは、国民皆保険、国民皆年金制度があり、一人ひとりがお金について考えなくてもよかったからです。裏を返せば、突然学校でお金について教えるようになったのは、国が国民のお金の面倒を見られなくなってきたから。
いまの日本人は、お金に関する意識が低く、知識もありません。どう増やすかも大切ですが、どう使うかこそ、深く考えるべきです」(友野さん)
4630万円振り込みミス事件を機に、あらためて「生き金」と「死に金」の違いについて考えてみてはどうだろうか。
※女性セブン2022年6月16日号