それでも、統計上、テクニカルに説明できる範囲で行う比較対象となる過去の速報値の下方修正ぐらいのことはやるかもしれない。しかし、足元の景気減速の状況を見る限り、その程度ではとても間に合わない。
下期の経済政策は、目標値に届くまで、供給、需要双方から、強力な政策を打ち出すだろう。2022年の成長率は、終わってみれば悪くても5.3%、5.4%程度となるまで、当局はやれることはなんでもやろうとするだろう。
コロナ禍を封じ込めた上で、決められた目標を達成できてこそ、政治も社会も安定する。異例となる3期目以降も政権を担当するにはそれだけの実績が必要だ。アメリカではバイデン大統領が低い支持率に悩まされているが、習近平国家主席も決して安泰ではない。どこの国も政治家の使命は重くて厳しい。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。