有力候補と見られた三者が相次いで退社し、関氏は「今度こそ」と本命視されたが、わずか10か月の“短命CEO”に終わった。ただ、今回の関氏の退任にあたっては永守氏もこれまでとは違って誤算があったようだ。経済ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。
「後継者候補と見られた人物が退任したのは4回目となりますが、今回の退任が噂された時は株価が大きく値を下げました。これまでは『永守プレミアム』と呼ばれるほど株式市場での安定感がありました。それが、今回はそのカリスマの復帰を市場がリスクと捉えた。さすがに80歳近くなって、“後継者を決めないとマズイ”と評価している」
交代の発表から遡ること3か月、米ブルームバーグが1月25日、〈永守会長が、関潤社長に失望感〉と報じると堅調だった株価は一転。日本電産株は翌日、一時、5.3%急落した。
永守氏は直後の会見で「三流週刊誌のようなところが書いたことを信じる人はどんどん株を売ればいい」と強気だったが、結果的にCEO交代は現実のものとなり、投資家の不安が的中した格好だ。
関氏のCEO職を解くと発表した4月の決算発表会見で永守氏は、「年寄り扱いされては困る」と意欲を見せたが、6月17日に控える株主総会の質疑では、より直接的に批判の声があがる可能性もある。
1月の急落を見ても、「後継者問題」を深刻にとらえる投資家が一定数いることが窺える。年初に1万3000円台をつけていた株価は、永守氏のCEO復帰後も8000円台にとどまる。
(後編につづく)
※週刊ポスト2022年6月24日号