山口県阿武町の「4630万円問題」を受けて、「もし自分のもとに大金が転がり込んできたら……」と妄想した人も多いだろう。実際に突然、思いがけずお金を手にした人は、どんな心理になるのだろうか。
ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは、急に大金を手にした人の多くは、その後いい結果をたどっていないと話す。
「宝くじで3億円当たった40代女性の相談に乗った経験がありますが、彼女は当せん後すぐに仕事を辞めてタワーマンションを契約したり、ブランド品を買いあさったりと無茶なお金の使い方を繰り返し、最終的に音信不通になってしまいました。私は預貯金の確保と分散投資などをアドバイスしたのですが、聞く耳を持ってもらえなかった。いま、どこでどんな暮らしをしているのか、とても心配です」(高山さん)
たとえそれまで堅実な半生を歩んでいたとしても、突然手にした大金の魔力には抗えない。
「退職金と妻の遺産がいっぺんに入って、1億円を手にした60代男性もいました。真面目なサラリーマンとして一生懸命働いてきたにもかかわらず、『いままで地味だった分、残りの人生を派手に謳歌したい。このお金をもっと増やしたい』と考えて、株式投資や信用取引につぎこんでしまったようです。ピタリと連絡が途絶え、1年後、そのかたのお子さんからお金はほとんど残らなかったと連絡がありました」(高山さん)
運用がうまくいっても、大きな不安をかかえるケースもある。
「昔買って寝かせていた株に1億円の価値がついたというケースもあります。その人は私のところに相談に来た時点で預貯金はもちろん、投資も手堅く行い、つましい生活を心がけていたため、運用そのものはうまくいっていました。しかし、大金を手にしたことが周囲にバレてトラブルになることを恐れるあまり、家族や友人とうまくコミュニケーションを取れなくなり、人間不信に陥ってしまいました」(高山さん)