財産分与は、当事者間で協議が整わないときは家庭裁判所が、「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法」を定めます。
財産分与の方法は裁判所の裁量的判断に委ねられており、単にふたりの寄与度に応じた財産の清算だけでなく、慰謝料的要素なども加味されて判断されます。
動物は物といっても現物を分割することはできませんから、どちらかに分与され、分与されなかった方の不利益はほかの分与財産や金銭で調整されることになります。
動物愛護管理法は、動物の飼育者は「適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない」と定めており、財産分与にあたってもペットの飼育環境が充実しているかが重視されると思います。
別居にあたって協議する場合も、飼育環境の変化や別居後の散歩や食事がどうなるかなども勘案し、ペット本位で相談するのがよいでしょう。一方が飼育する代わりに他方にペットに触れ合う機会を確保するなどの条件で合意することも考えられます。
別居の再考は無理でしょうか。子はかすがいといいます。ペットもそうなるかもしれません。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座、B型。
※女性セブン2022年6月30日号