昭和の時代ではよく見られた亭主関白だが、いまの時代ではモラハラ(モラルハラスメント)となることも多い。「誰のおかげで飯が食えているんだ!」、「お前はバカなんだから黙っていろ!」──こんな言葉を日頃から夫に言われてストレスを抱えている妻は、モラハラ被害者と言えるだろう。そんな夫との離婚を考えているなら、適切な手段を取る必要がある。モラハラ離婚に必要な手順を紹介する。
【証拠を集める】肝になるのは録音よりも日記
物理的な暴力であるDV(ドメスティック・バイオレンス)は傷痕などが証拠になり、傷害罪・暴行罪などで逮捕してもらえるが、“精神的な暴力”であるモラハラはそうはいかない。離婚問題に詳しい弁護士の齋藤健博さんが言う。
「“妻への教育的指導”と判断され、客観的に認められないことが多いんです」
そもそも、離婚する場合、当事者同士の話し合いで済ませる「協議離婚」と、家庭裁判所の調停員を介して話し合いを進める「調停離婚」がある。これらの方法なら証拠は必要ない。ところが、話し合いがまとまらないと裁判となり、そうなると、証拠が必要になる。横浜心理ケアセンター代表・椎名あつ子さんが指摘する。
「モラハラ夫の多くは、離婚は世間体が悪いと思っており、妻からの離婚の申し出を受け入れず、裁判まで進むケースが多いんです」