でも、息子は要らないだろうけど、どうしても捨てたくないものもあって、それは東京に持って帰ってきました。40年前のデビュー当時の衣装、小中学生時代に集めていたピンク・レディーのブロマイド、松田聖子ちゃんや山口百恵ちゃんの切り抜きとかね。全部で段ボール10箱くらいになったかなぁ。車で往復20時間を7回ほどしました。
父の書斎にあった本も、試しに古書店に持っていきましたが、ほとんど二束三文でした。いちばん高く売れたのが、官能小説。神保町の書店が小さな段ボール1箱分を5000円で買い取ってくれました。
実家じまいは「明るいイベント」
反省は、実家じまいを放置していたがために、とにかくお金がかかったこと。固定資産税が年間8万円、火災保険が10万円。ガスは止めていたものの、電気と水道は使えるようにしていたので、基本料金だけでも約9万円。
バカにならなかったのが植木の手入れや雑草取りです。高松市役所から「庭木と雑草の手入れをしてください」と電話があって、地域のシルバー人材センターに頼みましたが、それが1回5万円で、年2回で10万円。維持費だけでも年約37万円ですから、それが25年分となると、すごい金額ですよね(苦笑)。
〈出費は維持費だけではない。リフォーム代、往復の交通費、宿泊代、ゴミ処理費用など多岐にわたり、総計で1800万円超にのぼった〉
実家じまいについて、両親、特に父が亡くなった後に、母と少しでも話していればよかったと思います。整理をいざ始めてみると、捨てていい物か、捨ててほしくない物なのか、まったくわからなくて。あと、私でも誰だかわからない先祖の写真も、判断に困りました。
話しづらい話題ではあると思うんですけど、みなさんにはぜひとも、実家じまいを「明るい家族イベント」として捉えてほしい。私みたいにしくじらないようにしてください。
※女性セブン2022年6月30日号