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難しい相続ケース「法定相続人以外に渡したい」 弁護士に相談し遺留分の対策を

相続が複雑になりそうな場合は、専門家に相談を(写真:イメージマート)

相続が複雑になりそうな場合は、専門家に相談を(写真:イメージマート)

 相続をめぐるトラブルは一筋縄ではいかない。なかには弁護士の力を借りなければならないこともあるだろう。そうしたケースのひとつとして、「法定相続人ではない人」に遺産を渡したい場合がある。ベリーベスト法律事務所の弁護士・遠藤知穂氏が語る。

「内縁関係の相手や事実婚のパートナーなどに財産を残したい場合、弁護士に遺言書の作成を依頼するとよいです。相続させる遺産が一部の相続人に偏るケースも同様ですが、他の相続人から『遺留分』を請求されるリスクがあるからです」

 遺留分とは法定相続人(兄弟姉妹や甥姪以外)に最低限保障される遺産取得分のこと。たとえば法定相続人が息子2人の場合、「財産をすべて長男に」と遺言書にあっても、次男は法定相続分(2分の1)の半分にあたる4分の1を受け取る権利がある。

「弁護士に相談することで、遺留分がどのくらい発生するのかを踏まえた対策が考えられます。たとえば長男に多く残したい場合も、遺留分を侵害しない範囲にとどめるように計算して文言をまとめることが可能です。

 逆に、親の遺言書に“特定の子供1人にすべての財産を相続させる”とあった際、他の子供が遺留分を手にするための遺留分侵害額請求の相談も多くあります。この請求には、“被相続人が亡くなったことと遺留分が侵害されていることに気づいてから1年以内”という期限がある。早めにご相談いただくことが重要です」(遠藤弁護士)

 相続には“時間との闘い”がつきものだ。川崎相続遺言法律事務所の弁護士・勝本広太氏の指摘。

「相続税の申告は、相続の発生(被相続人の死亡)から10か月以内です。相続人が多数いる場合、相続人を確定する調査にも時間と労力が必要です。また、相続人のなかに認知症などで判断能力のない人がいるとそのままでは遺産分割協議に参加できないので、裁判所に成年後見人の選任を申し立てる必要がある。そうした問題が生じそうであれば、早い段階で弁護士に相談することで時間が短縮できます」

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