前出・蒲島氏も「遺族年金が“事実婚主義”であることはあまり知られていません」と話す。
「遺族年金は“一緒にいた人”にお金が出るかたちになり、元の結婚相手と離婚していれば、入籍していなくても事実婚の相手が遺族年金を受け取れます。さらに、正式に離婚が成立していなくても、事実上夫婦関係にあると認められて内縁の妻に遺族年金が支給されたケースもある。もちろんケースバイケースだし、制度が複雑なので、疑問があれば社労士に相談するといいと思います」
年金は「申請主義」で、年金事務所から“受け取り漏れがある”といった通知は来ない。あくまで受け取る側が申請する。
身内が亡くなった後は、年金事務所や年金相談センターに年金受給権者死亡届を出して受給を止め、未支給年金や遺族年金を請求することになる。未支給年金の請求の場合、死亡から5年以内に、故人の年金証書、死亡証明書、故人と請求者の関係がわかる書類、故人と生計を共にしていたことを証明する書類などを用意して請求する。
「社労士が職権で揃えられるものもありますが、必要書類は本人に揃えてもらうケースが多い。請求の依頼に対する社労士の報酬は事務所によって異なりますが、一般的には5万~10万円が相場で、事情が複雑なケースや書類を揃えるところからの場合、費用が増えます。確認のうえで依頼するといいでしょう」(蒲島氏)
こうした専門家の助言を踏まえ、一人ひとりが相続という難題に備えることが重要だ。
※週刊ポスト2022年7月1日号