300万~500万円用意して100万円前後でスタート
では、投資を始める前に、どのくらいの資金を用意すればよいのだろうか? 佐藤氏は「人それぞれですが、あえて申し上げると300万円から500万円を用意して、最初は100万円前後の資金で始めるといい」とアドバイスする。なぜ300万円用意して100万円で始めるのか?
「最初から100万円投資すると、2割損した時は20万円損することになります。普通の金銭感覚がある人なら20万円損するかもしれないことをそう簡単には始められません。自分の持っている能力を使って、できるだけ調べ、学び、考えるでしょう。最初からそうあってほしいのです。
投資の世界は戦場です。気軽な気分で出ていかないでほしい。理知的に考え、相場の流れをじっくり観察し、冷静な判断のもとで取引をして、利益を出してほしいのです。投資での『勉強』とは、投資に『勝つ』ことです。成功体験を積み重ねて投資の力をつけていくべきです。少額投資に反対なのは、多くの人がそういう苦労を吹っ飛ばして、パチンコにでもいくように気軽に行うという理由が一番大きいからです」
20万円とは、決して小さな金額ではない。20万円あればスクーターを買うこともできるし、テレビやパソコンなどを新しくすることもできる。家族で国内旅行に行くこともできるだろう。それだけの金額なのだから、十分な準備をして真剣に投資を始めなければならない、というのだ。
では、100万円の投資をするのに、なぜ300万円用意する必要があるのだろうか? 100万円貯まったらすぐに投資を始めてはいけないのか。
「それは市場が生き物で、投資の世界は“戦場”だからです。100万円しかないのに100万円をすべて使って始めるのは無謀です。時とともに戦況は変わるもの。自分に有利に動いているのであればさらに資金を送り出す。反対に相場が予想に反した動きをしていても、一時的にしのげば勝機はくると判断するのであれば、追加して投資することもできます。そして、時には撤退することも必要かもしれません。熟慮して決断をしたとしても、その後のマーケット次第では手直しが必要なことがある。さらに、自らの判断ミスをカバーしたり、利益を増したりするために、追加で投資資金がほしい局面も投資にはよくあります。すべてにおいて追加の余剰資金が必要になるのです」
投資の世界戦う相手は、百戦錬磨の投資家だったり、資産が何兆円もある機関投資家だったり、さらにはオイルマネーや政府系ファンドだったりする。ヘッジファンドがデリバティブでレバレッジを効かせて、市場を揺さぶるようなこともよくある。不可思議な市場の動きの背後にいるのは、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏やジョージ・ソロス氏かもしれない。そういう人たちと同じ土俵で戦うのが投資の世界であって、最初から全戦力を投下して戦うのは無謀だということだ。