家計

住宅ローンの繰り上げ返済「やっていい時期」「ダメな時期」 住宅系FPが解説

子どもができたのが30歳の時か、40歳の時か

 では、住宅ローンの繰り上げ返済はどのように進めればよいのでしょうか。それは各家庭で子どもができた時期によって大きく異なります。

 例えば30歳のときに子どもが産まれたら、教育費の支払いが終わるのは、53歳のときになります。多くの会社の定年である60歳まで7年もあるので、この時期を過ぎれば、お金に余裕が出てくることでしょう。この時期に住宅ローンの繰り上げ返済を行ったり、老後資金を準備したりすることができるでしょう。

 これがもし、40歳のときに子どもが産まれたら、教育費の支払いが終わるのは63歳になります。今は晩婚の方も多いため、決して珍しいケースではないと思います。しかし、残念なことに、40歳以降に子どもが生まれた方の住宅ローンの繰り上げ返済のやり方に「テンプレート」はありません。その家庭の収入や、貯金額、将来を見据えたライフプランをもとに、いつ繰り上げ返済をすることができるのかをその都度確認していくしかありません。

 30歳のときの出産と40歳のときの出産では、10年しか変わらないように見えますが、決定的にライフプランが変わります。教育費の支払いが終わる63歳の頃には、定年退職している人も多いかもしれません。そうなると、教育費の支払い終了後にお金を貯めていくのは難しく、子どもの教育費のピークまでにいかに老後資金も含めて貯蓄をしていくかが重要となります。

貯蓄がなければ選択肢を広げられない

 また、40代以降での住宅購入でよくあるケースが「購入する物件が高すぎる」というものです。それくらいの年齢になってくると、若い時に比べて収入も高く、ある程度、貯蓄もあるケースが多いため、住宅購入予算が上がってしまい、結果、住宅ローンを支払えなくなってしまうということもあります。住宅購入後に、収入が高い時期がどれくらい続くのかをよく考え、現実を踏まえてライフプランを作成しましょう。

 このように、人生全体のライフプランを通して大きな目線で見るようになれば、いつお金を貯める必要があるのか、そしていつそれを取り崩すことになるのか、その時期の目安がわかってきます。それぞれの家庭でライフプランは異なり、同じライフプランは一つも存在しません。

 一概には言えませんが、若いうちに購入した場合の住宅ローン返済は、主に教育費を払いきったあと、定年までの期間で返済できることも多いでしょう。教育費のピーク前に無理をして繰り上げ返済を行わないように注意してください。一方、40代以降で購入した際の住宅ローン返済パターンは、その家庭ごとに異なるので、オーソドックスな形はありません。ライフプランを作成し、後から資金不足になってしまわないように注意しましょう。

 最後に、若いうちでの住宅購入や、40代以降での住宅購入、いずれのケースでも貯蓄がなければ選択肢を広げることができません。どういったところにいくらくらいのお金をかけているのか、家計をしっかりと把握していきましょう。また、お金をかけたいところと、我慢して節約するところを明確にすると、貯蓄もしやすいと思います。

【プロフィール】
関根克直(せきね・かつなお):ファイナンシャルプランナー。2004年に茨城県にて住宅購入相談中心に開業(現在のオフィスは東京都千代田区)。住宅購入サポート、住宅ローン相談、投資用物件の利回り計算などを得意とする。またTBS『ひるおび』の「お財布救助隊」にも出演。チャンネル登録者数10万人超えの住宅系YouTuberとしても活動中。

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