「経済状況が悪化しているいま、わずかな貯金と年金では老後が不安。働けるうちは働こう。それも、自分のスキルを生かした仕事で稼ぎたい──と考え、中には、“プチ起業”する主婦も増えています」
こう話すのは、お金の専門家・菅井敏之さんだ。
「起業というとハードルが高そうですが、“プチ起業”とは、家事を代行したり、スマホの使い方を近所の高齢者に教える(スマホコンサルタント)など、いまあるスキルを生かして個人でできるものが多いんです。自分が住む地域でどんな困りごと(需要)があるか、隣人たちと雑談しながらニーズを引き出すことで、自分にしかできない仕事を見つけられます」(菅井さん)
なかには資格はないけれど、趣味のスキルを活かして、仕事につなげた主婦もいる。その実例を見てみよう──。
「夢中になれそう、楽しめそう、という直感」
「趣味として楽しくやっていたことが、こんなに人に喜んでもらえる仕事になるなんて、思ってもいませんでした」
声を弾ませながら話すのは、「メモレコ」の講師やクリエーターとして忙しい日々を送る、メモレコみっちゃん(38才)だ(以下・みっちゃん)。
「メモレコ」とは、30秒~1分程度の動画で、大事なことを正しくかつ、印象的に伝えられるよう、手書きの文字やイラストを駆使して編集されている。メモが動いて見えるような作りになっており、会議の議事録などを「メモレコ」にしてまとめると記憶に残りやすい、と人気を集め、SNS上のPR動画などに使われることが多い。
みっちゃんが「メモレコ」を始めたのは昨年の1月。それまでの8年間は3人の子の育児に追われる専業主婦だった。
「当時は、生後7か月の赤ちゃんを含む3人の子育てと家事に追われていました。口癖は、“宿題はやったの?”“片づけは?”……。私の人生、このままでいいのかな―そう思っていました」