ビジネス

「客がロシア人だから」と旅館が宿泊拒否するのは法的に問題ないのか 弁護士の見解

 旅館業でも同様に『旅館業法』第5条で、伝染病に罹っていると認められたり、賭博などの違法行為をしたり、風紀を乱す虞がある場合、余裕がない場合以外は「宿泊を拒んではならない」と規定し、違反すると50万円以下の罰金で処せられる犯罪になります。よって、当該旅館の対応は違法です。

 加えて国籍で差別したことは、当の留学生の人格権を侵害する不法行為になり、その与えた精神的苦痛に対し、慰謝料支払義務を負いかねない行為でもあります。

 ロシア政府の責任を一留学生に問えるものではありません。ウクライナに同情し、ロシアを非難すること、人後に落ちるつもりはありませんが、個人や国籍を理由に差別し、苦しめる行為は絶対に行なってはならないこと。

 先日、ある地方の旅館がロシア人の宿泊拒否を宣言しましたが、批判を浴びて撤回。当たり前のことですし、良識が機能してよかったと思います。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。

※週刊ポスト2022年7月8・15日号

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。