狭いゆえの不満はたくさんあるけど…
Aさんは出かけるのが好きなタイプだが、インドア派の人でも狭いワンルームに住んでいる人もいる。飲食店に勤務する20代女性・Bさんは、職場まで数駅の立地で、ロフト付き10平米前後、家賃6万円台のワンルームに住んでいる。広さを妥協したことで、希望していた築浅物件に出会えたという。
「職場近くの物件を探していたんですが、家賃が安いと設備も築年数も古い物件が多くて……。そういう時に不動産屋さんに紹介されたのが、部屋はめちゃくちゃ狭いけど築浅でロフトがあり、セキュリティもばっちりの物件でした。私はインドア派なので、住む前は狭さが気になりましたが、今はその狭さにも慣れました。ロフトのベッドに寝っ転がりながら、スマホで動画や漫画を見たり、延々ゲームしています」(Bさん)
狭い物件は「家に寝に帰るだけ」のイメージが先行するが、そこで過ごす時間も苦にならないという。
「昔からトイレやネットカフェに引きこもって、漫画を読むことが好きでした。狭い方が集中できるんです。限られたスペースをいかに有効利用できるか考えて、試行錯誤を楽しめる人にも向いていると思います。収納グッズを活用したり、不要なものはすぐに捨てたり、ものを“循環”させながら、インテリアを考えるのは楽しいですね。ただし当然、狭いということは収納スペースが多くないということなので、ものが多い人や、捨てられない人には厳しいと思います」(Bさん)
もちろん狭い部屋ゆえの不満もないわけではないが、それがあまり気にならないのは、やはり家賃が安いからだ。
「まず、もちろん誰かを家に招き入れることはできません(笑)。あと、ベランダがないので、部屋干ししかできないのですが、洗濯はマメにやらないと、部屋が干している洗濯物で埋まります。狭い分、湿度も気になることは多い。キッチンももう少し広ければいいのに……など、思うところはたくさん出てきますが、家賃の安さには替えられません」(Bさん)
ここで話を聞いた2人は、家賃の安さと職場に近い立地を重視して部屋の狭さも許容している。またスマホ主体のライフスタイルで、ものは必要最低限の所有にとどめる価値観も垣間見えた。若い世代の中には、狭い物件も苦にならない人が増えているのかもしれない。