投資情報会社・フィスコが7月11日~7月15日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は下げ渋る可能性がある。米リセッション懸念で利益確定のドル売りに下押しされる場面がありそうだが、日米金融政策の違いに着目した取引でドル買い・円売りは続き、ドル高円安の基調を維持される見通し。6月下旬から7月上旬にかけて発表された米経済指標は消費者信頼感指数やISM製造業景況感指数など低調な内容が目立つ。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ高進を抑止するため引き締め姿勢を強めるものの、米金利安でドル売りに振れやすい。
外為市場の関心がインフレから景気に移りつつあるなか、7月13日に発表される6月消費者物価指数が市場予想を上回った場合、インフレ高進による米経済成長の鈍化が懸念される。また、15日発表の6月小売売上高は5月に予想外のマイナスとなったが、6月も弱い内容なら消費の減退が警戒されそうだ。
ただ、6日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、インフレ高進を抑えるため引き締めに前向きな姿勢が示された。パウエルFRB議長は直近の討論会で「ドル高に責任を負わない」との見方を伝えており、ドル高進行を懸念していないことを示唆した。世界経済の先行き不透明感も警戒され、ユーロ圏は足元の弱い経済指標にエネルギー供給不安が追い打ちをかける。英国の政局流動化もあり、欧州通貨が一段安となった場合、ドル選好地合いとなろう。
一方、日本銀行は「インフレ上昇圧力は強まっているものの、安定的な上昇とは言えない」との見方を変えていないため、現行の金融緩和策を継続する方針を伝えている。欧米主要国などで景気減速への懸念が強まればリスク回避の円買いが拡大する可能性もあるが、ドル・円は日米金利差の取引で下値の堅さが顕著になりそうだ。
【米・6月消費者物価コア指数(コアCPI)】(7月13日発表予定)
7月13日発表の6月米コアCPIは前年比+5.7%の見通し。市場予想を上回った場合、FOMCのタカ派的な見解を正当化し、金利高・ドル高の要因に。
【米・6月小売売上高】(7月15日発表予定)
15日発表の米6月小売売上高は前月比+0.9%と、5月の-0.3%から上昇に転じる見通し。市場予想を上回った場合、個人消費の改善を好感して株高・円安要因となろう。