投資

米ドルへの過信は禁物 ロシアへの経済制裁を引き金とする「ドル暴落」シナリオも

円安が続いているからといって、ドルの価値が不変なわけではない

円安が続いているからといって、ドルの価値が不変なわけではない

 長引くコロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻で、混乱する世界経済。物価が上昇し、株価も荒い値動きで先行き不透明な展開が続いている。マーケットバンク代表の岡山憲史さんはこう話す。

「そもそも、3月頭までの株価の暴落は、ロシアよりも、コロナ禍の影響が大きい。米国のサプライチェーン(供給網)に支障をきたし、物流が滞ってインフレーション(インフレ・物価の上昇)が起きたのです。そこにウクライナ侵攻が起き、投資家の不安心理が拡大。売りが加速して株価が下がり、ロシアへの経済制裁で原油価格が高騰し、ますますインフレが進みました」

 インフレの影響で円の価値は下がり続け、3月28日には一時、約6年半ぶりとなる1ドル=125円10銭となった。2019年の同日は1ドル=110円36銭だったのに対し、14円74銭の円安だ。

 円の価値が下がるということは、諸外国から見れば「日本の商品は安い」ということになり、輸出企業を中心に、日本全体の経済は好転する。その一方で、世界的に見ると価値の低い日本円を必死に集めるのは損でしかない。

 事実、日本円の価値はこの20年間で48%下がったといわれており、例えば、20年前に持っていた100万円が、いまは世界的に見ると52万円分の価値しかないということ。外貨に換えておき、いざというときに備えるという選択肢もあるだろう。

「いまや日本円はドルだけでなく、ユーロやポンドに対しても円安が目立ち、この傾向は今後も続いていくと予想されます。米国の高金利と、円安による為替差益を手にすることができる外貨預金や米国個別株、米国株を組み入れたETF(上場投資信託)は、手数料は高いですが、ただ銀行預金に預けておくよりはメリットがあるといえます」(岡山さん)

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