インフレ時に現金を“逃がす”先の候補は、株式や投資信託だけではない。プロが選ぶのは、「金(ゴールド)」だ。コモディティーインテリジェンス代表の近藤雅世氏が語る。
「株式や債券、通貨などは、国や企業の信用をベースに取引されている“ペーパー資産”なので、社会・経済情勢によっては、資産価値がゼロになるリスクがあります。
一方、金は埋蔵量に限りがあるので、世界中で価値が認められている。世界情勢や経済動向が不安視される状況になると、安全資産である金に投資家の資金が流入して、値上がりするのです」
それゆえに昔から“有事の金”と呼ばれるが、現在のような局面においても有効だという。
「モノの価値が上がり、通貨の価値が下がるインフレ下では、現物資産である金の価格は値上がりしやすい傾向にあります。通貨の価値が下がるのを嫌って、金を買う投資家が増えるからです」
デフレの局面では現金の価値が上がっていくが、現在のようなインフレ局面では、価値が下がりにくい金に換えたほうがいいということだ。
では、どのような投資方法が適しているのか。
「株式や債券が値下がりしている状況でも、金は値上がりすることがあります。ですから、ポートフォリオに金を加えると、分散投資によるリスクヘッジの効果を高めやすくなります。
投資のプロたちが運用するファンドの実績を見ると、約15%の比率で金をポートフォリオに組み入れていたファンドのパフォーマンスが、もっとも良かったという結果が出た。したがって、個人投資家でも全資産の10~15%を金で所有することを推奨します」