田代尚機のチャイナ・リサーチ

ゼロコロナで高成長を目指す中国のジレンマ 相次ぐ景気刺激策の効果はどこまで

ゼロコロナ政策で落ち込んだ消費の立て直しはどこまで可能か(時事通信フォト)

ゼロコロナ政策で落ち込んだ消費の立て直しはどこまで可能か(時事通信フォト)

 下期のグローバル経済を予想する上で、カギを握るのは中国経済だ。欧米が景気減速懸念を強める中で、強力な刺激策によって景気をどこまで急回復させられるか、どこまで世界経済を下支えできるか、多くの市場関係者が中国の政策情報に注目している。

 全人代で承認された今年の経済成長率目標は5.5%前後。1-3月期の成長率は4.8%で、7月15日に発表される予定の4-6月期成長率のアナリスト予想は、高くても1%程度だ。通年の目標を達成させるためには、下期は8%を超えるような高い成長が求められる。

 景気刺激策の大きな骨格は、全人代や、5月23日に新華社を通じて発表された「さらに一歩進んで経済を安定させるための一連の措置」(国務院常務会議による決定)によって示されている。

 後者について、少し内容を説明しておくと、財政政策、金融政策、インダストリアルチェーンの安定、消費と有効な投資の促進、エネルギーの安全確保、基本となる民生の保障といった6つの方面について、33個の項目が示されている。

 ゼロコロナ政策で消費が大きく落ち込んでおり、消費の立て直しが急務である。産業の裾野が広く、波及効果の大きな自動車産業に対して中央、地方両政府から減税、補助金などに関する政策が既に実施されている。自動車と同様、波及効果の大きい不動産に関しては、金融面から消費者サイドに向けた需要拡大策が実施されている。

 今後、新型コロナウイルスの封じ込めがもう少し進めば、運輸、旅行、飲食といったサービス産業向けの活性化策が本格的に打ち出されるだろう。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。